カルチャー

[廃墟サンカノでの戦い⑪]時の凍りし街サンカノ。

便座に腰掛けた勇者候補生のトラヴィス=クロフォードは、水洗ボタンを押しても水が流れないことに衝撃を受けた。

「ボタン越しに魔力を流せば水は流れるはずだけど。魔力を供給する装置が壊れているのか・?」

トラヴィスは再度、水洗ボタンを押した。

「いや、魔力そのものがボタンに干渉できていない。俺の魔力が弾かれている。」

「魔力が物質に干渉できないケースは、魔力を干渉を防ぐ強力なバリアが張られてるか―」

右手に魔力を込め、天井に向かって雷の魔法を全力で行使する。一瞬の強烈な発光の後、雷が着弾する。

「次元が異なる場合。」

煙さえも発生しない、無傷の天井。雷によって生じた熱でトラヴィスの額からは汗が流れた。

「そうか。この街は時間が止まってるんだ。」

(次回へ続く・・)