[第15回]幻声人語 - 戦場のゴブリン掃除人 -

カルチャー A.C.0124年 05月15日10時30分

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「戦場」において最も重要な人物は誰だろう。指揮官、優秀な兵士、それとも戦略級魔法使いだろうか。こと「戦争」において彼らの存在が不可欠なことに変わりはない。しかし「戦場」という限られたシーンで考えると、彼らに匹敵する最重要人物が他にいる。

魔物の死骸掃除人、通称「モンスターダイソン」だ。彼らは戦場で倒された魔物の死骸を掃除し、兵士達が常に動きやすいよう場所を確保する。時には、進軍の妨げになる巨大なゴーレムや龍を解体し、商人達に売りさばく。大地に呪いや毒が残らないようゾンビやグールを浄化する。どれも重要な仕事だ。

それが最近では、ダイソン達のことをゴブリン掃除機として揶揄し、軽んじる兵士達が増えてきている。確かに魔王軍の7割はゴブリンで構成されているから、ゴブリンはダイソンにとって一番の掃除対象だ。正直、掃除しなくても進軍に支障はないし、大地に毒が残ることもない。でも彼らがいなければ、後方部隊が救助活動をスムーズに行うことができない。戦場で紛失した遺品を見つけることも難しくなる。

何より、戦場で後片付けをしないというのは、祭りの後に大量のゴミを放置することと一緒だ。この星に生ける全ての生命に対しての無礼な行いであることは明白だろう。

最後にダイソン暦50年の職人、源五郎さん(73)の言葉を紹介して終わりにする。

「ゴブリンを掃除してるとな、ふぅと気づくときがあるんじゃ。わしらの心が逆に掃除されているんかもしれんなあ。」

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