カルチャー

[廃墟サンカノでの戦い⑦]帝国軍驚愕。これが黒龍を殺した男。

「なんだ・・こいつは・・」

帝国軍を束ねる指揮官イスカ=レブナント氏が呻く。眼前で繰り広げられる、異次元の攻防。勇者候補生のトラヴィス=クロフォードは、帝国軍が奇襲を受け苦戦してしまった敵の集団、およそ数百体を一人で蹂躙していた。それも、帝国軍を守りながら。

帝国軍は誰一人、トラヴィスの戦いに加勢しようとは思わなかった。いや、正確には、戦闘のレベルが違いすぎて、足手まといになるだけだと、動くことができなかった。

ある者は悔しさで、ある者は羨望の眼差しで彼をみつめる。それ程までに圧倒的な戦闘力。指揮官イスカは、青年が一人で黒龍を倒した動画をみて、自分でもできると判断した。「なかなか面白い奴が出てきたな。お前らも負けるじゃないぞ」と部下達に発破をかけた。ところがどうだ。

今、目の前に繰り広げられる戦闘。身体能力、魔力、技術全てが自分より遥かに高い。身のこなし全てが敵の攻撃を誘導するフェイント。的確に急所を突く刀さばき。常に10~15ほどの魔法を同時に詠唱し、魔力のよどみなく正確に行使する。

「・・次元が違う!」


帝国軍の視線を一手に受けながら、トラヴィスは焦っていた。

「くっそ、こんな時に・・うんこがもれそうだ!!」

(次回へ続く・・)