政治

[第8回]幻声人語 – 軍の価値 –

最近、第六回勇者選抜試験の候補生達の活躍が凄まじい。

中でも、四天王を打ち倒した、トラヴィス=クロフォードさんとグレン=マッケンさんの強さは異常だ。一騎当千とはよく言ったもので、彼ら単体で戦局を左右する。

世間では、あいつらだけで戦った方が良い。騎士とか無駄死にするだけの役立たず。という評価が溢れ、一兵卒の必要性が議論されている。

兵を増やすより、彼らのような異端の強さを持つ者を探した方が戦争のコストは安く上がるのではないか。

全くもって、見当違いも甚だしい。彼らはあくまで個なのだ。いくら単騎で強かろうと、心が一つであることに変わりはない。

もし彼らが、気分が乗らないと思えば戦は止まるだろう。飽きたと思えば負けるだろう。そこに国の、国民の意識はない。

一人の力ではどうしようもない流れ。弱さを内包した上での勇気。個の集合なくして戦争は行えない。