社会

[第5回]幻声人語 – 竜と龍 –

私達記者には、記事を執筆する上で、明文化されてはいないが、暗黙の了解としていくつかの守らねばならぬルールがある。例えば「竜」と「龍」だ。同じ種族の事を指し、どちらも、カタカナで言うところのドラゴンであることに変わりはない。

しかし、記事の中では違う。「竜」と表現されていたら、私達人間が乗るために飼育された竜や味方をしてくれる竜のことを指す。「龍」と表現されていたら食用の「龍肉」や魔王軍など敵の龍を表現する際に用いられる。

要するに、人間にとって、保護の対象となるドラゴンを「竜」。殺してもかまわないドラゴンを「龍」と使い分けているのだ。

ドラゴンには多種多様、様々なタイプが確認されているが、まさかドラゴン達も人間達に与するかしないかで、別の種族が如く、カテゴリー分けされているとは思うまい。