カルチャー

[第1回]幻声人語 – 魔法杖の発展と影。 –

今月初め、高性能の魔法杖が発売された。魔力の伝導率が良く、見習い魔法使いでも簡単に高位の魔法が使えるようになるという。

私達が子供のころは、火玉を一つだすのに四苦八苦し、細かい魔力の制御や自分の魔法特性に目を向けなければならなかった。当時は、「めんどくさい」「もっと良い魔法の杖があれば」と願ったものだが、昨今の魔法犯罪の低年齢化を見ると複雑な心境だ。

長年魔法を磨きぬいた人だけにしか使えぬ魔法が、まるでカップラーメンのように簡単に使えてしまう。魔法杖のメーカーはこぞって、誰もが大魔導師。誰もが高位魔法を。とささやくが、大魔導師の心持までは教えてくれないのだ。

「魔法ってのァ、自分を知ることなんですよ。」かの大魔導師ンババさんの言葉が胸にささる。