カルチャー

[第3回]幻声人語 – 妖精の力がなくなる日-

きっかけはポーションのCMだった。大手製薬会社が森の妖精を起用し、有名タレントと一緒に出演させた。「妖精も使う、コーラ味のポーション!」放映後、商品は爆発的にヒットした。

これを機に、各社がCMやバラエティ番組に妖精を起用するようになった。若い妖精たちは、人間とあまり関わらないという習慣を捨て、人間達の社会へ進出するようになった。しばらくして変化が起こった。神秘性を帯びていた妖精が民主化されたのだ。

恐れ多いとされてきた妖精達が週刊誌でこき下ろされるようになった。魔導テレビでは、汚れ役を喜んで担当する妖精達も現れた。

「人間達と深く関わってから、私達の霊的な力が下がり始めているんですよ。」今、妖精の長達は頭を悩ませている。このまま敬意や畏怖が人々の心から薄れていけば、妖精の加護がなくなる日も遠くないだろう。