社会

[廃墟サンカノでの戦い⑫]撤退完了。決戦は明日へ。

道具屋の2階で用を足した勇者候補生のトラヴィス=クロフォードは、魔王軍と奮闘している帝国軍の戦列に戻った。

「遅かったな。まぁ、貴様がいなくても何とかなったがな。」
聖騎士エレンは、血の気の完全に引いた顔で強がる。それが彼女の役目だ。

「悪ぃ悪ぃ。いろいろあってさ。」
トラヴィスは、水を流さずにトイレから出たことを心にそっとしまい、魔王軍に体を向ける。

腹の爆弾を撤去し開放された気分のトラヴィスは、気持ち良く伸びをして刀を構えた。愛刀は四天王との戦いで折れたため、適当に戦地で見繕った刀だ。

「さーて、やっか。」

1時間後、鬼神の如き強さで魔王軍を圧倒し、劣勢だった帝国軍を無事撤退させた。帝国軍は廃墟サンカノ東部に待機している王国軍と連絡を取り、先行して襲撃したことを謝罪した。

両国の話し合いにより、決戦は最も闇の力が弱まる日中、13時に相成った。

(廃墟サンカノでの戦い 完)